〜『焔の貴石』シリーズをよりご理解頂くために〜
ここからは作者からこのシリーズについての少々の解説をさせて頂いております。こういった解説をお許し下さる方は、この先しばらくお付き合い下さいませ。
【このシリーズの舞台について】
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この『焔の貴石シリーズ』は、グラナダのアルハンブラ宮殿(世界遺産)をイメージした城を舞台にしていることから、中世風の物語のように感じられる方もいらっしゃると思います。
ところが実はこのシリーズ、畏れ多いことですが、皇室のお世継ぎ問題が取沙汰されていた頃、それに触発されて書き始めたものでした。(シリーズ最初の作品『氷の楼閣』)
平安モノが好きだったこともあり、和のテイストを持ったものを念頭に置いて書いていたのですが、日本の皇室を舞台にするには、知識が足りません。
自分の判る範囲で(勝手に作り易い設定で)無理なく物語を書こうとしたところ、中世っぽい城を舞台にした、カタカナ名前の人々が活躍する、漢字ばかりの作品が出来上がってしまったのです。
【皇子・皇女という表記について】
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本来この表記の仕方は、王国とは比べ物にならない程大規模である帝国の皇帝の子供に用いるもので、王国の場合は王子・王女という表記の仕方となります。
ところがこのシリーズは、
古の日本の皇室をイメージして書いたものでした。天皇の息子を皇子(みこ・おうじ)、娘を皇女(ひめみこ・こうじょ)ということから、そのまま皇の文字を使って皇子・皇女と表記しています。
【王・王妃への呼び掛けについて】
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王や王妃に呼び掛ける際の呼称は「陛下」などですが、本シリーズは、
古の日本の皇室をイメージして書いたものである事から、「主上」などと表記するのも変ですので、意図的に「王」「王妃」と表記しています。
【カタカナ表記・まわりくどい表現について】
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このシリーズには、人名や擬音語以外、カタカナ表記を使っておりません。もともと
古の和のイメージがありましたので、そこにドレス(衣装と変換)、シャツ(胴衣と変換)、ズボン(脚衣と変換)、タオル・ハンカチ(手巾と変換)といった単語を出したくなかったのです。
またこのシリーズでは、なるべく今風の言葉や熟語を使わないようにしています。そのため、まわりくどい表現になってしまっているかも知れません。
- 時間が経つ→時が移ろう
- 戦場→戦場 ……など
カタカナ語や今風の言葉を使わない事により、昔めいた雰囲気を作ることにも一役買っているのではないかとも思うのですが……どうでしょうか。
【人名について】
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お気付きの方もいらっしゃるかとは思いますが、人物名は、宝石・貴石からとっております。
もともと宝石・貴石の名前は似た様なものが多く、差別化を計ることが難しい……と後から気付きました。
ですが、『焔の貴石』と石の名前をシリーズ名にしてしまったことと、このシリーズの最初の作品である『氷の楼閣』から続く設定上、どうしてもこれは変更ができません。
混同しやすい名前で申し訳ございませんが、頑張ってお読み下さいまし。(ぬぅ……/汗)
【
王婿という表記について】(玻璃の橋板)
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女王の配偶者になる者を王婿・
王配(女性の天皇の夫をさす場合は、
皇婿・
皇配との説も有)といいます。王の配偶者を王妃と呼ぶのと同じですね。王婿というのはなかなか馴染みのない言葉ですが、改稿にあたり、この表現を使わせて頂くことにしました。
つらつらと色々な事を書き散らかしてしまいました。少しでもこの作品を理解して頂く手助けになれば幸いです。