流るる星の行方



 星が、流れた。
 その日――人々は、一つの時代が終わったことを知った。

 少女が剣を構え、背の高い男と対峙している。少女のまだ幼さの残る手にできた肉刺(まめ)はつぶれ、その上にまた、新たな肉刺ができていた。
「ほうら、そこ。また少し遅れましたね。それがあなたの甘さだ。そんなことでは、わたしに勝つことなど無理でしょう」
 男は、見下したような視線を少女に向ける。悔しさからか、少女の瞳が心なし潤んで見えた。

 少女は、名をアシュラといった。本当の名は知らぬ。アシュラはまだ物心つかぬ内に国境近くの森の中に置き去りにされていたところをこの男に拾われた。以来、アシュラと名づけられたこの少女は、拾い主と共に暮らしている。
 碧色の瞳は意思の強さをあらわすようにきつい光を帯び、桜色の唇は滅多に笑むことはない。折角の美しい栗色の長い髪は無造作に頭の後ろで括られ、その身のこなしはまるで少年のようである。身の丈はこの年頃の少女にしては大きいように思えるが、その体にはまだ、女らしい丸みがなかった。
 男の名は、ヨーマ。背でゆるく編んだ長い髪は、この国の人々の大半がそうであるように、アシュラと同じ栗色である。その昔は武人として国に仕えていたが、今ではその仕事も辞めてしまっていた。国境近くのこの森の中に居を構え、二人がやっと食べて行ける程度の畑を耕して暮らしている。
 だが時々思い出したように、アシュラを置いて一人でフラリと出掛けてしまうのだ。そしてそのまま何日も家を空け、出て行った時と同じようにフラリと帰って来る。帰って来れば必ず、大金と共にアシュラに与える本を持っていた。それは童話から専門的な学術書まで多岐に渡り、アシュラは彼からその内容について学んだ。彼女が投げかける疑問に、ヨーマは淀みなく答える。その知識の深さは、アシュラには測り知れなかった。

「また出掛けるの?」
 アシュラは、部屋の片隅でごそごそと動く影を見やり、まだ覚め切っていない目をこすった。
「起こしてしまいましたか」
 低い声が、アシュラの耳に届く。
「ヨーマのせいじゃない。もう起きる時間だ」
 無愛想にそう言うと、アシュラは自分の体に巻きついた掛布を勢い良くはがし、寝台から足を下ろした。朝の空気に冷え切った床は、アシュラの足から容赦なく熱を奪う。揃えてあった靴の中に乱暴に足を突っ込むと、彼女はヨーマに駆け寄った。
「今度は何日くらいで戻る?」
 ヨーマの胴衣の裾をそっと握り、アシュラはその無表情な顔を見上げた。ヨーマは最低限の身の回りの物を、使い込まれてボロボロになった大きな麻袋に詰め込んでいる。冷徹な黒い瞳は、彼女を見ようともしない。アシュラは手の中の胴衣を、離すまいと強く握った。
「行かないで……くれないか」
 精一杯無理をして、アシュラは言った。本当は自分の願いを口にするなんて、そんなことに慣れていない彼女にとっては、とても気恥ずかしいことなのに。
 ヨーマの動きが、ふと止まる。  すっ、と無駄のない軌跡を描いて、彼の瞳がアシュラに向けられた。
「仕方の無い姫だ」
 黒い瞳が、ほんの少しだけ笑みを形作ったように思えた。
「私は姫なんかじゃ、ない」
 見詰め合う瞳はそのままに、アシュラの唇だけが不機嫌そうに白く引き結ばれる。その手から力が抜け、胴衣の布地がするりと逃げた。

 アシュラは寝台の中で掛布にくるまり、膝をかかえていた。ヨーマが出掛けてから何日目になるだろう。
 姫と呼ばれるのは嫌いだ。綺麗な衣装を着てただ微笑み、政の道具にされるだけの、本の中の人。それよりも自分は、ヨーマと共に剣を振るい、彼の役に立つことのできる者になりたかった。
 壁にかかった時計は、止まったまま。ヨーマが出掛けてから、螺子(ねじ)を巻くのもやめてしまった。アシュラの他に動くものなど何一つないこの部屋の中、時までが息を潜めているようだ。
 風が鳴り、森がざわめく。アシュラはブルッと身を震わせた。遠い記憶の中の、薄暗い森がおぼろに思い出される。
 ――あの日、ヨーマが助けてくれなければ……――
 今ここに自分は生きていないのだと、改めてアシュラは思った。

 扉の向こうで、馬の鼻息が聞こえたような気がした。
「おかえり、ヨーマ!」
 主の帰りを待ちわびた仔犬のような瞳で、アシュラは扉に駆け寄った。もどかしげに取手を下げると、勢い良く開く。そのまま彼女は、動けなくなってしまった。
「お客……さま?」
 ヨーマは、出て行った時と同じように唐突にそこに立っていた。だが彼の背後には、今までに見たこともない程の数の人間が、それぞれの馬を引いて黙って立っていたのである。皆、煤けた長い上衣を身につけ、麻袋を背負っている。女も混じってはいたが、その腰や背中には、他の者と同じく長剣や弓などの武器がつけられていた。
「あぁ……」
 一瞬で、アシュラは理解した。この人達も、ヨーマと同じ種類の人間なのだと。向けられる視線に、自分の体の中の血が凍りつくようでもあり、たぎるようでもある。それは剣を構えてヨーマと対峙する時に感じる、あの不思議な高揚感と同じだった。
 ヨーマは時々、いなくなる。フラリと出かけて、何日も家を空ける。それは危ない仕事をしているからなのだと、この家を訪れた数少ない人間の一人から聞いていた。
 危ない仕事――それは即ち、依頼を受け、秘密裏に高位の者を殺めること。『暗殺』という、最も過酷で冷徹さを要求される仕事を、ヨーマは引き受けているのだ。
 剣を構え、彼の視線をこの身に受ける時、アシュラは何度、次の一手で自分は斬り殺されるのかも知れないと思ったことか。その思いは不思議な高揚感を伴って血を沸き立たせ、自分もいつの間にか同じ瞳で彼を見つめ返しているのに気付く。キンと澄んだ金属音が響く度、心までが研ぎ澄まされて行くように感じていた。
 それは実際に剣を手に命を掛けて仕事をする者だけが持つ、剣呑さと強さだった。
「今度の仕事には、あなたも連れて行きます。さあ、すぐに仕度をなさい」
 戸口の向こうに立ったまま、ヨーマは言った。
「え……っ?」
 アシュラは瞠目(どうもく)する。そして次の瞬間には、弾かれたように身を翻し、少しばかりの身の回りの物を麻袋に詰め、最後に得物である長剣を腰に()いた。
 アシュラの頬は紅潮していた。
――ヨーマと、行ける――
 仕事の内容が何なのかは分からない。だが、彼の足下にも及ばない腕前の自分を、それでも必要だと言ってくれたことだけは分かった。
 仕度を終えると、ヨーマが外に出るようにと促した。「先に行きなさい」という彼の言葉に従い、アシュラは自分の馬を厩から引き出して、他の寡黙な人々と共に斜面を下りはじめる。
 唐突に、背後に熱を感じた。驚いて振り返ると、今まで暮らしていた家が燃え上がっている。声もなく、アシュラはその炎を見つめた。馬が足を踏み替え、体がゆらりと揺れる。
「驚きましたか」
 いつの間にか、ヨーマが隣に来ていた。アシュラはただ、彼の瞳を見つめ返した。
 家から上がる炎は、何もかもを呑み込んで行く。アシュラが暮らした痕跡を、綺麗に舐め取って消して行く。その紅くのたうつような炎を見つめ、アシュラはもう二度とここには戻って来られないのだと悟った。

 一行は、王都をめざしていた。途中すれ違う人々は、皆一様に生気に欠け、虚ろな目をしている。貧しい村だけではなく、比較的裕福な人々が集まり易いとされる街の周辺でも、人々の顔には表情が乏しかった。
 夜を迎える度に宿をとった。だが街の大きな宿屋でも、出される食事は粗末なものだった。これで客から文句が出ないということは、国全体の水準が落ちているということである。
 路地裏で遊ぶ子供達の手足がやけに細いのを見て、アシュラは眉をひそめた。
「王の施政が悪いのです。わたし達は……それを正しに行くのですよ」
 アシュラの耳元で、ヨーマがささやいた。

 王都に近付いて行くにつれ、水面に浮かぶ木の葉が寄り添って一つの塊を形作っていくように、一行には次第に新たな人々が加わっていった。ある者は川べりの村から、そしてある者は王都近くの宿屋の陰から。音もなく、誰と何を話すでもなく、ただその場に現れてはそのまま一行と行動を共にした。
 それぞれが得物を携えた一行は、それでも人々から奇異な目で見られることもなかった。何故なら、そのような者達が、王都の周りにはたくさん居たからである。剣呑な空気が王都の――王城の周りには渦巻いていた。

 膨大な数の人々が集まっていた。馬に乗った者も徒歩の者もいたが、その誰もがこちらを注視している。その中心に、アシュラ達はいた。
「あれが王の住まう城です」
 馬を寄せたヨーマが指差す方向に、石造りの堅牢な城壁に囲まれた城が在った。アシュラはそれを視界の中に捉え、ふと言いようのない感覚に捉われる。
――あれは……――
「これから――」
 浮かびかけた疑問は、すぐにヨーマの言葉によって打ち消された。彼はくるりと身を翻すと、寡黙な一行に向かって声をあげた。
「我々はあの城に攻め入る。ここにはアシュラも居る。なんとしても、王を倒すのだ!」
 朗々と響く声に、寡黙な一行からときの声が上がった。低く大地を揺るがすような響きは次々と周りに飛び火し、不穏な喧騒が辺りに満ちる。どうやらこの一行だけでなく、王城の周りに集まっていた剣呑な空気をまとった人々も、この企てに加わる者であるようだ。
 ――空気が、震えた。人々が、動いた。
 アシュラが何をしたら良いのか判らずに、とまどったような視線をヨーマに向けた。彼はそれに、珍しく微笑みで応える。
「あなたは、わたしと共に」
 そう言って、馬の腹に軽く蹴りを入れた。遅れじと、アシュラもそれに従った。
 疾走する馬の背で、剣を引き抜いた。こちらに向かって来る兵士の姿を見留めると、アシュラの腕は覚えた型をなぞる。重い手応えに鞍上から振り向けば、アシュラの剣を受けた兵士がくず折れるのが見えた。
 前を見ると、ヨーマが敵の兵士に向かって剣を突き出したところだった。それは相手の鎧の継ぎ目を捉え、次の瞬間、敵の兵士は地に臥していた。
 堅牢に見えた城壁も、あっけない程簡単に一画が破れた。どうやら中から手引きする者があったようだ。それも、一人や二人ではない。王政に不満を持つ者は、この城内にもたくさん居たのであろう。迎え撃った国軍も、一国の軍にしては、あきらかに数が少なかった。
 ヨーマは相当な剣の遣い手だった。彼に敵わないはずのアシュラも、他の者と比べてみれば、随分な遣い手だと言えた。ヨーマから教えられた型をなぞれば、相手は倒れてじきに動かなくなった。
 反乱軍は大砲などの武器を奪い、城を崩した。それに乗じてヨーマとアシュラは一気に城内を駆け上り、王族の間に入る。そこには豪華な衣装に身を包んだ、哀れで滑稽な王の姿があった。
「陛下、お久し振りですね」
 ヨーマの唇が、皮肉げに歪んだ。
「お……お前……」
 恐怖からか、それとも憤りからなのか、王の唇がわなわなと震える。それを見下したような瞳で見やると、ヨーマはアシュラを手元に引き寄せた。
「この娘が誰か、あなたには判りますか?」
 肩を抱くようにして、王の前に彼女を立たせる。アシュラはとまどって、肩越しにヨーマを振り返った。
「まさか……」
 王の目が、いっぱいに開かれる。その下の唇が何かを言おうと開きかけた瞬間、ヨーマの剣が閃いた。鳩尾(みぞおち)を剣の柄でしたたかに打たれ、王は咳き込みながらその場に倒れた。
 ヨーマは立てた人差し指を自分の唇につけ、悪戯を思いついた子供のような瞳を王に向けた。
「おっしゃってはなりませんよ、陛下」
 なおも咳き込み続ける王を、ヨーマはただ見下ろしている。
「ですからわたくしどもが、何度もお(いさ)めしたでしょう。こうなる前に、ご自分で悟って頂きたかったのに」
 顎をこころもち上げ、半眼となって見下ろすその瞳は、驚くほど冷たい。傍で見ているアシュラの背にも、冷たいものが下りる心地がした。
 ヨーマが首を巡らせ、アシュラを見る。だがその瞳には、先程の冷たさは宿っていなかった。
「アシュラ、申し訳ありません。あなたをこんな事に巻き込みたくはなかったのですが……」

 その時、足下の影が動いた。続いて、ヨーマの体がぐらりとよろめく。アシュラには、何が起こったのか、とっさには判らなかった。
 ――王の剣が、ヨーマのわき腹に突き刺さっていた。
 アシュラは自分でも不思議なほど、いとも簡単に腰に佩いた剣を抜いていた。何もためらうことなく、それを王の体に沈める。相手が誰であろうと、大切な人――ヨーマに仇なす者は容赦しない。
 瞠目した王が動きを止め、その体は床に転がった。贅を尽くした衣装の裾が床の上で波打つ。
「ア……シュラ……」
 熱い息を吐いて、ヨーマが彼女の名を呼んだ。
「いやだ……ヨーマ、しっかりして!」
 倒れた彼の半身を起こし、しっかりとその頭を胸に抱き留める。アシュラの腕の中で、ヨーマが何度もうなずいた。
「大丈夫です……このくらいでは、死にません……」
 その顔に微笑みすら浮かべて、彼は気丈に言った。
「陛下は……?」
 ヨーマの問いに、アシュラは床に転げた体を見た。豪華な衣装に包まれた王の体は、少しも動かない。放っておけば、その体温は次第に失われていくようだ。
「死んだ」
 視線だけをもう動かぬ王に向け、アシュラは一層強くヨーマの頭を抱いた。
「そう……」
 苦しい息の下から、彼が全てを諦めたように言葉を吐き出したのが聞こえた。

 遅れて王族の間に上がってきた者によって、王の死が確認され、ヨーマは手当てを受けるために城内の薬師の間に運ばれて行った。
 アシュラはヨーマの傍に居たかったが、宰相と名乗る男に引き止められた。宰相は感慨深げにアシュラを見る。
「アシュラ……いえ、アーシュラン様」
「アーシュラン?」
 この部屋には宰相と自分の二人きり。アシュラは彼が自分のことをそう呼んだのだと悟った。
「それが、あなた様の本当の名です」
 宰相は続けて、アシュラがあの王の子――即ち、この国の王女であったと告げた。

 アシュラの父である王の施政は、酷いものだった。自分の贅沢な暮らしを守るため、民に重い税を課した。城内にも賄賂(わいろ)が横行し、地位も金で買えた。王は家臣の忠言にも耳を貸さず、ただ己の欲のための政を行なった。
 王は、自分に不満を持つ者がいることを承知していた。彼の一人娘である王女がその内の急進派に狙われていると知り、臣に命じて密かに王女を城から出立させた。だが不運にも、賊によってその一行は襲われてしまった。国境近くの森にうち捨てられていた幼子を拾ったのは、武人であったヨーマである。彼は宰相の命を受け、王女の行方を捜していたのだ。
「本当は陛下に、お考えを改めて頂きたかったのです」
 宰相は、当時を振り返るように遠い目をした。
 ――苦しむ民を見て、その暮らしを守ろうと決めた。宰相は急進派ではなかったものの、王の施政を良しとはしていなかった。王の手の届かぬ地で育った王女になら、この国を預けられるかも知れないと思った。その前に王が臣の忠言を聞き入れて施政を改める日が来たならば、王女を王のもとに帰し、自分は反乱者の汚名を着て死んでいくつもりだった。
 ヨーマに城勤めを辞めさせたのも宰相だった。ヨーマは宰相に命ぜられた通り、王の悪政に加担する者の暗殺に手を染めながら、密かにアシュラを育てた。
 自らの命を賭した企みのもと、何度諫めても、王は聞く耳を持たなかった。そしてついには宰相も、彼に見切りをつけた。
「陛下を討ち、アーシュラン様に玉座をと……そう決めたのです」
 告げる宰相の瞳は、苦しげな色をまとっていた。

「いいか?」
 扉を叩き、許しを乞う。アシュラの目の前で、静かに木製の重厚な扉が開かれた。
 寝台の上に、ヨーマは寝かされていた。アシュラが入って来たのを見留めると、顔だけをこちらに向ける。彼女の背後で、薬師が静かに扉を閉めた。
「父のこと……宰相から聞いた」
 アシュラは短く言うと、寝台の脇の椅子にストンと腰掛ける。ヨーマの眉が、ほんの少しだけ動いたように見えた。
「それから、私の本当の名も」
 アシュラの瞳がヨーマの瞳を捉えた。
「アーシュラン様」
 低い声が、アシュラの本当の名を呼ぶ。
「まさか、あなたに陛下を討たせることになるなどと……申し訳ございませんでした。わたしはただ、最後に一目だけ、あなたを陛下にお見せしたかっただけなのです」
 だが結果的に、アシュラが王を討つことになってしまった。父を討ったことで、アシュラに業を背負わせてしまったのだと、ヨーマは謝した。
「私は父に、何の感情も抱いていない」
 アシュラは少しだけ、ヨーマの瞳から視線を外した。唯一信じた相手は、ヨーマだけ。今更父を持ち出されても、彼女には何の感情も湧いては来なかった。
「これからは、あなたがこの国を背負っていくのです」
 ヨーマの言葉に曖昧にうなずいて、アシュラは窓の外を眺めた。国だとか、そんなことは、正直よく判らない。
 ここに来るまでの間に見た人々を思った。細い手足の、子供達を思った。
 宰相の言ったことが本当ならば、臣はやるべきことはやったのだ。それでも施政を正さなかった王は、討たれるべくして討たれたのだろう。
 何も知らなかったとはいえ、自分が王を――父を、討った。かつて守ろうとしてくれた人を、守りたい人のために討った。そう知らされた今でも、父に対する感情は何も湧いて来ない。自分が王女――かつてあんなに嫌だと思っていた姫であったことだけが、皮肉に思えた。
 抗うことなどできないのだろう。
 剣の腕を磨き、ヨーマの役に立つ人間になりたいと願っていた。彼は今、自分がこの国の長として、民を導く者になって欲しいと願っている。それが彼の役に立つことになるのなら……。
 アシュラの目が、空に向けられる。いつの間にか日は落ち、夜の(とばり)に満天のきらめき。
 この国を背負う――それが、この身に課せられた使命なのだと悟った。

 星が、流れた。
 その日――人々は、新たな時代の幕開けを知った。